土曜日, 7月 22, 2006

大病院初体験

ここ数週間のやや無茶な生活がたたって、連休中盤から寝込んだ。

熱が出ると回復に必ず2、3日かかるので、普通だったら薬を飲んで
ひたすら安静にしているのだが、今回は胃がキリキリと痛むという
初めての事態に遭遇。1日様子を見ても痛みはひどくなる一方
だったので、これは胃潰瘍とか盲腸とかなのかもと思い、フラフラ
しながらも着替える。

普段だったら近くの医者に行くのだが、このお医者さん、なんだか
頼りない。いつも「うーん、なんだかよく分かんなあ。でも喉は腫れ
てるね。」みたいな、単なる現状観察に留まる診察の後にお薬を
出してくれるだけ。

今回は明らかに何か風邪プラスアルファの要素があるのは明白
なので、もっと突っ込んだ原因究明と治療が必要だ。そう考えて
今回は大きな病院に行ってみようと思った。だが、どの病院が
良いのか全然分からない。

一瞬救急車を呼ぼうかと思ったが、救急車も足りないみたいだし、
かろうじて自分で動けるうちは呼ぶのがなんだか申し訳ないという
気持ちになった。

結局、タクシーをつかまえて「この付近の大きな病院へ」と伝えた。
ほどなく名前を良く知っている大きな病院に到着。コンタクトをして
来なかったので案内板が良く見えない・・・。眼鏡を取り出して
総合受付へ行くが、連休明けのせいかえらく混んでいた。

受付で「お腹が痛いのですが」と伝えると、初診ですかと聞かれ、
そうだと答えると記入フォームが出てきた。医者の紹介でないと
2100円余計にかかる旨説明される。立っているのもしんどいので
ミミズのような走り書きで10秒で記入を終えて、呼ばれるまで
椅子に崩れ落ちる。

紹介が必要ということは、大病院という所はそもそも一見さん
お断りというシステムなのかと思ったが、後の祭り。ここで診察を
してもらうしかない。

呼ばれるまではしばらく時間がかかった。もしも私が虫垂炎とかで
受け付けで待っている間に手遅れになったりしたらどうするのだろう?
とか考えながらぐったりしていると、名前が呼ばれ、内科の受付を
案内された。また別の受付があるのかと暗い気持ちになる。

内科の受付に行くと、これまた待っている人の多いこと多いこと。この
順番待ちの人達の後に診てもらうとなると・・・・ちょっと気が遠くなる。
体をくの字に曲げながら「お腹がいたいんですけど」と受付で言うと、
受付の人が処置室にベットがあるから呼ばれるまでそこで寝ていて
いいと言ってくれた。優しい。

が、処置室に行ったらベットが空いていないと言われた。仕方ないので
処置室の長いすで寝ることにする。しばらくすると恐ろしく目が充血した
看護婦さんが「具合が悪いのですか?」と聞いていたので、「はい」と
答えるとベットを用意してくれた。

カーテンで仕切られた空間の中にある「病院のベッド」に寝るのは初めて。
カーテン越しに周りで点滴をしている人、酸素か何かをスーハーしている人、
痰を吸いだしている人などの音がする。非常に病的な空間なのだが、
たとえこのまま気を失っても、ちゃんと誰かが処置をしてくれるだろうという
安心感がこみ上げてきて、そのまましばらく眠りにつくことができた。

数十分くらいたっただろうか、診察の順番がきたと言って診察室の前で待つように
言われる。行ってみると、午後の診察が始まったところらしく、他の患者さんが
いっせいに待合室からやってきた。私は次だと言われていたので、どうやら
順番待ちの最初に割り込ませてくれたらしい。やっぱり急患ぽい人が待合室で
手遅れにならないような配慮はちゃんと働いているらしい。

診察してくれたのは同い年くらいの女医さんで、症状を聞いて終始キーボードで
カタカタ打ち込んでいた。お医者さんの診察というと、紙のカルテに読みにくい
筆記体で得体の知れない医学用語を書き込んでいる姿のイメージがあったので
隔世の感があった。

聴診、触診のあと、血液検査をしますということになり、一度診察室を出て血液検査
ルームへ。前の週に会社の健康診断があったばかりなので、こんなに血を抜いても
大丈夫なんだろうかと心配になりながら採血を受ける。その後、また呼ばれるまで
受け付けで待っててと言われたので、受付前の椅子に座るというか寝込む。すると、
また処置室のベットを使ってよいと受付の人が案内してくれた。優しい。

血液検査の結果に大して問題がなかったのか、今度の待ち時間は非常に長かった。
もともと順番をすっ飛ばして診てもらっていたので当然なのだが、今度は順番通りに
他の人の診察が全て終わってから診てもらうという感じ。うつらうつらとしながら
寝ていると、救急の患者が入ってくるからベッドを移って欲しいと言われ、隣に移る。
すると、そこへ昼食時に喉をつまらせた老人が息子に付き添われて入ってきた。
どうやら詰まったものは既に取れたようで、全く大事には至っていないご様子。
この人も同様に順番の最後に回されたようで、「時間がかかるねえ」と言いながら
私の順番の直前まで待っていた。

横になれたためにかなり助かったとは言え、このときこたえたのは寒さ。
熱がある中でタオルケット一枚というのは、やはりキビシイ。次第に具合が
さらに悪くなっていくのが自分でも分かった。一方で、病院の中の空気は妙に
澄んでいる気がして、呼吸だけはなんだか心地よかった。あれは空気清浄とか
そういったものの賜物なのだろうか?

診察室に呼ばれたときには意識は朦朧、頭はガンガンという状態。熱を再び
計ったら8度3分まで上がっていた。うなだれながら診察結果を聞くと、感染性の
胃腸炎らしい。が、それほどシリアスな状態ではないらしく、薬を飲んで安静に
していなさいとのこと。私があまりにぐったりしているので、お医者さんが一瞬
入院を薦めてくれたが、院の確認の電話であっさり却下されていた(笑)。

一応点滴だけしてもらうことになったのだが、さっきまで寝ていた処置室は
もう閉まってしまう時間だそうで、救急のベットで行うとのこと。でもその前に
受付で会計をして、と何やらややこしいことを言われる。

とりあえず処置室に戻って点滴を挿される。そのまま車椅子に座り、受付へ。
会計を済ませると救急まで押して行ってくれた。優しい。

救急まで押していってくれた人はそこでいなくなり、今度は救急の部屋の
人が点滴の面倒を見てくれた。

救急の部屋は、さきほどまでいた処置室に比べるとシリアスな会話が
飛び交っていた(救急だから当然かもしれないが)。入院とかして
周りで毎日こんな会話ばかりだったら、そりゃ早く退院したくなるし、
仮に先がないと分かってからも最期は家で、って思う気持ちが分かった
気がする。

意外なことに、私と似たような症状(胃が痛んで下痢も併発しているが、
食欲はある)で運び込まれている人が2人ほどいた。が、2人とも入院を
薦められていたのが私と違う。やっぱり救急車で来た方がよかったのかな?
と一瞬思った。

と、そこへ途中担当医の人がやってきて点滴をもう1本足すか聞いてくれた。
具合が悪い中、追い返すような形になってしまったことを気にかけているのか、
できるだけ長くベッドで休んでから家に帰れるように配慮してくれているように
感じたので、ご厚意に甘えてお願いすることにする。

点滴は今回が生まれて初めてだったのだが、想像していたほど特別な効果の
実感はなかった。ただ、それまで丸一日ロクに食べ物を口にしていなかったので、
あれがなかったら回復が遅れることになった気がする。

点滴が終わり、目覚めると部屋の奥の方で「~さん、起きてください。検査の結果
何も異常ありませんでしたよ。お帰りください」と看護婦さんが一所懸命他の患者さん
を起こしていた。その患者さんはへべれけ風の口調で「うるせいやい。起きるって
言ったってちょっとは静かにしてくんねえとこっちも起きられないんだよぅ○△□X?!」
みたいにゴネていた。病院もベットが足りなくて大変なんだなあと思った。

前回の会計後に点滴を追加したので、帰る前に救急の会計へ寄る。研修医のような
若い人が会計をしてくれたのだが、名前を言うだけで一発で事情が通じ会計を
することができた。

次に薬局で薬を受け取り、タクシーで家路についた。昼に病院に向かって、
家についたのは夜の10時。結局近くのお医者さんに行くのと大して変わら
なかったと言えば変わらなかった。

今回の体験で、病院でベットと人手が足りないという実情がよく分かった。
が、その一方で、私があれだけ場所を移動したにもかかわらず、放置も
されず、きちんと次の呼び出されたりしたというのは本当に凄いと思った。
看護婦さんはあれだけ忙しい中で、どうやってあんなに確実な引継ぎを
行っているのだろう?

普通の企業のコールセンターで、担当者があれだけ頻繁に変わる状況に
なったら、間違いなく同じ説明を何度もさせられたり、前の担当の人に
伝えた内容が引き継がれていなかったりということが普通に起こりそうに思う。

医療の現場って凄いな、と実感した次第。