土曜日, 3月 11, 2006

タンタンタンゴ

同僚の方がアルゼンチンタンゴを習っているのは知っていたのだが、今日の会社帰りにひょんなことからレッスンを見学させてもらうことに。

場所は会社と家のちょうど中間くらいのところ。学校を思わせるノスタルジックな内装の会社だらけのビルの4階にスタジオが。明るい所でみんな鏡に向かってレッスンかと思いきや、今日は経験者ばかりのレッスン日だそうで、照明を落とした中で皆さん思い思いに踊っていた。

私は踊りの基礎も何もあったものではないので、ひたすら観察するつもりでいた。

(観察中に思ったこと)

  • アルゼンチンタンゴというと、私はカルメンみたいな、足をダンダン踏み鳴らしたり、体を激しく反らせるような激しい踊りを想像していたのだが、実際は全然違った。上体はほとんどまっすぐで「ゆるゆる」とたまに「カツン」が混ざった踊りという印象。

  • たまに踵を跳ね上げるような動きがあるものの、足の裏はあまり地面から離れない。着地はつま先からという感じで、すり足が基本とのこと。しかし、外人の先生は逆に着地が踵からであることが多く、同僚に聞いてみたところ、モダンスタイルの踊り方なのだそうだ。

  • 見ていて「上手い」と思う人は、一時たりとも停止している瞬間がない。ステップを踏み出していない、体の揺り返しを待っているときでも、ゆーっくり重心が絶えず移動している。

  • 足をじっと見ていても、決まったステップのパターンのようなものはよく分からなかった。いちおう、8歩、16歩と8の倍数のステップでセットになっているらしいのだが・・・。

と、そのうち同僚とお友達の方に「やってみなよ」と促されて、恐る恐る超初歩のお相手をしていただいた。前後に動く動きと、8の字を描くようにパートナーがスイングする動きを教えてもらう。

(実際やってみて驚いたこと)

  • タンゴでは男性が女性をリードする。そのために男性は動きに先立って女性の重心移動を促すような動きをする必要があるのだが、その際にパートナーの重心がどちらにあるのかを常に念頭におく必要がある。

    人間がある方向に動く時には、動く方向に体を傾けて体重を乗せていくと思いきや、その前に一度動かす方向と反対の足に荷重を集める必要がある(ゴルフのスイングの体重移動と同じ原理)。つまり、次に左にスライドしたいと思ったら、パートナーの重心が向かって右側の足に乗るようにしなければならない。これが頭で分かっていても、なかなか実行できない。

    また、自分がクッと先に動いて動きたい方向を伝えたつもりでも、女性が想定通りに動き始めてくれないこともあるため、さらに強く動くべきなのか、体の揺り返しのタイミングで違う動きを始めるべきなのか迷う。

  • 前後の動きと8の字の動きを組み合わせつつ、レッスン場の外周を反時計周りに回るのが基本らしい。が、前→前→前→右にスライド というパターンの繰り返しでは、レッスン場の角の所で左にターンするのに難儀する。「ステップにこうでなくてはという決まりはないから、行きたい方向に行けばいいんだよ」と言われるが、自分と相手の重心と行きたい方向を考えながら、なおかつ曲にも合わせてだなんて・・・・無理です。

  • 基本的に前後まっすぐと回転だけで90度の方向変換だけで移動していくのかと思いきや、女性が足をクロスした後に斜めに動くような動きがある!そうなると、左右前後どこに重心があるのか分からなくなりパニック!

  • うまい人に超初歩的な動きの練習の相手をしてもらうのは凄いプレッシャー。先生ならいざ知らず、その人もレッスンを楽しむために来ているわけで・・・。同僚によると、男性はそう考えがちだが、女性は違うらしい。うまくなる秘訣はやはり色々な人と踊って場数を踏むのが早道らしいのだが、私などはやはり最初は初歩的なレッスンを受けてからでないと、気が気ではなくて気後れしてしまいそうだ。

という感じで、レッスン場を2週したくらいで、精神的にクタクタに。ラテン音楽に乗って陽気に踊りを楽しむという印象とは正反対の、ストイックな世界を垣間見た感じ。

体験後に皆さんの動きを見ていると驚愕の一言。あんなに重心を考えるだとか自分の動きたい方向を伝えるのが大変だというのに、なぜあんなにクルクル回りながら交互にカツカツとステップを交わせるのだろうか?あの動きが全てアドリブというのは本当に信じられない。

過去の似た経験に例えるならば、「初めて補助輪なしの自転車に乗った感じ」。頭で考えなくても当たり前にこなしている人が不思議で仕方なく見えてくる。または免許を取ろうと教習所に通い始めた途端に、タクシー運転手が神様に見え始めたような感じ。

「上手になったら楽しそう」、「ここまで思い通りにならないのは悔しいので克服してみたい」、と思う一方で、気後れする部分もある。全般的に男性が少ないので、これから始めようとする男性は歓迎されるらしいのが救いだが、はてはて。