土曜日, 3月 19, 2005

RSSは何をもたらす?

RSSについての話を聞く機会があった。RSSはBlogの爆発的な普及に伴って一気に普及の一歩前のステージまで踊り出てきた感があるが、今後どうなっていくかについて考える良い機会となった。

RSSアグリゲーターを出している会社の人の話だったのだが、メリットとしてアピールしていたのは下記のような点だった。

1.個人情報漏洩のリスクが高まる昨今、可能な限り個人情報は持たないようにした方がリスクが少ない。RSS配信によるコミュニケーションは利用者側から情報を引き出しに来るので個人情報を知ることなく情報の配信ができる。

2. ネットをかなり頻繁に閲覧する人のブックマークは数が増えすぎてカオス状態になっており、メンテ不能に陥っている。その中から情報が更新されているサイトを探し出すのは大変で、結果として幅広いニュースソースから迅速に情報を得るということが難しくなっている。RSSアグリゲーターはワンストップの情報ツールとして非常に有効である。

3.podcasting によって、RSS配信自体がラジオのような個人が立ち上げられるメディアとなる可能性が出てきた。

これらについて触れたあと、スピーカーの人は「RSS配信が盛んになると、いずれRSSの検索が必要になる。そのときまでに弊社のRSSアグリゲーターにコンテンツ配信契約をしておけば、そうなる前の時点でユーザーを囲いこめる」みたいなことを言っていた。

上から順番に私なりに解釈していくと

1.情報漏洩を防ぐというコンテキストから考えると、RSSはメルマガをメールベースからRSSベースに移行させる可能性を持つものであると言える。購読申し込み・解除がユーザーの側でできる上、メール自体を配信する必要もないので、情報漏洩リスクはもちろん、配信管理のコストも下がるに違いない。が、何か他の申し込みのついでに「メルマガをお送りしてよいですか?(デフォルトはYes)」という申し込ませ方ができなくなるので、新規読者の獲得は大変になりそうだ。また、RSSを使用するからにはそのコンテンツの置き場所としてのWebサーバーなり何なりが必要になりそうな気がする。メルマガはメールサーバーだけ立てていればよく、メルマガで案内しているデスティネーションまでやってくる人は読者の数%という見積もりができたが、今度は配信数と同じ数のトラフィックを裁けるコンテンツ置き場用のサーバーでなければならない。これは大変な負担だと思うので、個人情報漏洩リスクの観点から見た場合のRSSは、小規模または散発的に行われる配信に適していると言えそう。


2.RSSアグリゲーターがTVやラジオなどのリアルタイムメディア式のリアルタイム性をネットにもたらし、情報のワンストップ閲覧場所になるという意見には賛成だが、RSSは情報のリアルタイム把握には適した手段であるものの、情報のストックのハンドリングに対しては何も寄与しない気がするので、やはり最終的に情報のワンストップツールとなるのは検索ツールのような気がする。

また、Webサイトを持つ世の企業が「これからはRSSだ!」とばかりにRSS配信を始めて些細なアップデートも全てRSSでお知らせするようになったら、結局RSSリーダーの画面は現在のSPAMで埋め尽くされたメーラーの受信BOXと同様にジャンクな「お知らせ」で埋め尽くされることになりはしまいか。RSSでは更新頻度がメルマガでいうところの配信数と同等の意味を持つので、無意味なWebのアップデートが増えるという意味では、濫用されたときにもたらされるカオスの度合いは現在のそれを凌駕しそうな気がする。

ブックマークの代替という意味では、RSSもフィードしているRSSの種類が100を超えたら、管理不能になりそうなので、この意味での優位性はないように感じられる。ブックマークというコンテキストでは、RSSはブックマークサイトの更新チェッカーと同等の意味しかもたないとうことか。

3.podcastingは確かにラジオ業界、語学教材の分野にはよいのかもしれない。最終的には動画でのCM配信に使われたりもするようになるのだろうか(RSSには属性がしかけられるので、動画に出演者やワードをいろいろ仕込んでおいて、それにヒットする動画CMが流れてきたら自動的に再生されるとか。そのワードに好きな芸能人をセットしておけば、好きな芸能人のCMは逃さず見れるなど)。むしろこういった仕組みはTVに仕込まれた方が有益かも。一日の視聴者の時間は有限だし、Overtureのような入札にすれば「引き」の強いワードに合致する広告の広告料は高騰するだろうから、広告代理店は番組の合間に同一のCMをバルクで流すよりも収益を最大にできたりしないだろうか。


どの用途も利用者側がRSSの使い方に習熟してくれないと、発信側もRSSオンリーの仕組みに移行できない。BlogでRSSが一般的になったとは言っても、仕組みがそれを使っているというだけで、ユーザーがその存在を意識しているとは到底言いがたいのが現状だろう。その鍵を握るのは主要ブラウザのRSSアグリゲーター内蔵かと思われる。が、RSSが代替するものはメールだったりブックマークだったりと、その用途をITリテラシーの低い人にすんなり分からせるのは容易ではなさそうな気がする。MSがそれをどのようなコンセプトで説明してくるのか、個人的には興味津々。


個人的にRSSのECカスタマーサポート方面での活用に興味がある。サイト内のある事柄に関して関係ありそうなお客様に対してRSSでお知らせを配信していくのだ。要はバックエンドが発信するイベント情報をWebサーバー側で受信して表示する、と。でも、それだとお客様から見た場合のリアルタイム制が落ちるので、希望する人にはマイアカウントのRSSプロキシというか、Myアカウント画面で見れる情報を流すRSSを配信する、と。その場合、他の人がその配信内容を覗けないようにする必要があるかもしれないが、それはどうすればよいのだろう?うーん。