日曜日, 2月 27, 2005

社外のご意見番

こちらのエントリーで社外取締役の話を読んだのだが、私にとって社外取締役というのは趣旨には賛同するものの、どうやったら運用がうまく回るのか不思議な制度だ。

もっとも根源的な「殿ご乱心の場合のセーフティーネット」という機能は株主から見ても安心材料かもしれないが、以下の問題はどうやってクリアーするのだろう?

1.社外取締役は社内の内情には通じていない問題
同じ会社の中ですら現場より上の人間は問題の細かいところを知っているわけではないが、仮に知っていたとしても、その認識と同じレベルまで社外取締役にキャッチアップしてもらうだけでも結構な手間がかかると思う。「内情をあまり知らない人」にセーフティーネットの役割が期待されるのはなぜだろう?業種が立ち上がってからの歴史が浅く、特殊なノウハウが武器となって成長している会社の本業に関する事項では社外取締役が「ご乱心」を判断するのは難しいのではないかと思う。あくまで経営者の一般常識レベルで見て「おいおい」と思うレベルの「ご乱心」を忠告できるご意見番、というレベルが期待されてできたシステムなのだろうか?ここでふと思ったのだが、政治の世界にもその自治体の住民でない人をご意見番として登用するようなシステムがあっても良さそうなものだと思った。ボードと議会の本質に私の気付いていない大きな違いがあるに違いない。

2.人材の問題
社外取締役はどこからスカウトするのだろう?超大企業の社外取締役には、同じく超大企業の重役や社長が名を連ねていたりするようだ。結婚式におけるゲストのバランスのように「釣り合い」が世間体として要求される故なのかもしれないし、同規模の会社を回している人でないと問題意識を共有できないものなのかもしれない。どちらにしても、人選の幅はそれほど大きくはなさそうだが、これまた歴史の浅い業界の場合はどうするのだろう?まさか同業他社とお互いに社外取締役を送りあうわけにもいかないだろうし・・・。親・関連会社やら銀行から役員を派遣してもらうのだろうか?だとしたら、世の社内取締役でそういう出身の人は既にいそうな気がする。そういった会社の利害に囚われない人を、となると、経団連とかそういった組織で横のつながりを持つにいたっていない規模の会社ではスカウトが難しそうだ。そのうち、人材紹介会社が「この人は高い見識と公正な判断力をもち、かつきちんとビジネスを構築した経験のある人です」という人を集めた「社外取締役候補」紹介サービスを始めたりするのだろうか?

3.社外取締役のコミットメントはどこから?
公正で中立な社外の人間からの意見を経営に取り入れる、という目的に関しては経営コンサルを入れても同じ目的が達成できそうな気がする。社外取締役の方が社へのコミットメントが高いという前提がないと、社外取締役の意義がなくなってしまう気がするのだが、社外取締役の高いコミットメントを支えるモチベーションは何だろう?ストックオプション?それとも株主からの代表訴訟のリスク?前者だとしたら、「公正中立な」という大義名分が外れてしまうし、後者だとしたらそんな面倒をわざわざ引き受けたがる人がいるとは思えない。ひょっとしてUSなんかでは、「他社の社外取締り役を何社か経験することが社長になる条件」とかそういった縛りがあるのだろうか?だとしたら、自社の社長に登りつめる前に他社の代表訴訟なんかで足をすくわれたくないだろうから、「ご乱心」には目を光らせそうだ。でも、実際は社外取締役となる人にとっては「フルタイムで取締役は本業があるから無理。でも、パートタイムとは言え、引き受けた以上はちゃんとやる。」という真面目さ、使命感、経営のプロとしてのプライドで成り立つものなのかもしれない(自分の周りで見たことのある社外取締役の人は結局このタイプだと思う)。でも、一方で「みんなで社外取締役になりあって、取締役報酬でお互い自分の年収上げましょう」という社外も巻き込んだお手盛りが始まってしまったら、それもモラルハザードになってしまうわけで・・・。