木曜日, 11月 04, 2004

自分探しの旅

イラクで邦人誘拐があるたびに「自分探し」が話題になっている気がする。

私は新卒で就職活動をしていた頃から途端に聞くようになったこの言葉があまり好きではない。ニートとかひきこもりとか、そういったメンタリティを連想させる内向きな何かをこの言葉に感じてしまうからだ。

が、そんな私も周りからみたら「自分探し」にしか見えない、プーとして数年間を過ごしていた期間があったりする。きっとその時期がなかったら今のキャリアには辿り付いていないので、私の自分探しは成功したと言えると思うが、世間でよく聞く自分探しは旅によるものが多い気がする。

私の「自分探し」は長者わらしべのような経緯を辿っている。

ペーペーで権限はないのになぜか重役直リポートのような状態で責任が重いサラリーマン生活に疲れ、手に職をつけたいと感じる

税理士を目指すということにして会社を退職

勉強を始めるが、もともと数学が苦手なので簿記なんかできるわけない

財務諸表論から勉強することにする

資本というものが実感として理解できず、悩む

その頃、同じく勉強中でプーだった知人から自作パソコンを作ろう!という誘いを受ける

「プーのうちに絶対ヒマ人じゃないとできないことをやろう」と思い、テレホーダイ使い切り生活に突入。ネットサーフィン、ネット懸賞、ネット消費者リサーチ、チャットを1日10時間くらいやる生活を開始。

資本の理解のために株主になることを決意。ネット証券で口座を作ってプチ株主になる。

ネットでなにかお金になることをしようと思い立つ

株の取引量が増える

掲示板で知り合った海外の車マニアを相手にチューニングパーツの個人輸出を試みる

個人輸出は手間がかかりすぎるのと、卸価格で仕入れられないとボランティアにしかならないことから趣味で行う程度に撤退

ミニ株の口座には損益分岐点計算機能が提供されていないことに激怒。自分でプログラムする決意をする。

C言語の勉強を開始→すぐに挫折。

Excelの関数(マクロ)の勉強を開始。図書館で簿記や税法の勉強をするよりなぜかシステム関連の棚を読破することに燃え始める。

Excel VBAの勉強を開始。コードを5000行ほど書いてポートフォリオ管理ソフトを作成。

シェアウェアにしたいという欲が出る

配布するサイトを作るためにHTMLの勉強を開始

ExcelファイルではシェアウェアにならないのでVBの勉強を開始

特許に興味をもち、自分の発明の出願書類を書いてみたりするが、先願類似特許を調べるのが大変とわかり、とらぬ狸の皮算用ネタとして心の片隅にとっておくことにする。

車のECUのROMチューンをやってみたくなる

VB手始めとして、マウスで数値を変えられるROM MAPエディタの製作開始

VBがわかり始めた頃に、ポートフォリオソフトはシェアウェアではなく、ASPサービスにしようと思い、ネットでインタラクティブなことをやるならJavaだ!と思い、Javaの勉強開始。

サーバー・クライアントのシステム環境を個人では手に入れられなくてどうしようかと思っていた頃に、今の会社のバイトを開始。おもちゃが一杯あったのでそのまま転がり込む。


という感じで、私の「自分探し」はひきこもったまま行われたということになる。なんだ、私が嫌がっているイメージ通りではないか・・・(笑)。

ただ、私がラッキーだったのはネットにふんだんに接続できる環境が自宅にあったということ。全く無知の状態から勉強するのにあたり、ネットがプログラミングの勉強にどれだけ役立ったかは計り知れないものがある(税法の勉強であれば、逆にネットはほとんど役にたたなかったろう)。それ以外でも、それまでの生活の延長では決して死ぬまで出会うことすらなかったであろう様々な人々の知識と価値観に触れることのできる環境を心行くまで探索できたことの意義は非常に大きかったと思う。(それなのに当時の世間のネットでのコミュニケーションに対する認識は「バーチャル」とか「仮想空間」とかだったのは非常なロスだったのではないかと思う)。

結局、自分探しとは物理的にせよ何にせよ、新しい世界に触れて自分の素直な反応を客観的に観察し、「あ、自分はこれを楽しいと感じている」ということに向って突っ走ってみる、ということだろうか。

好きこそ物の上手なれ、とはよく言ったものだと思う。